信越五岳トレイル激闘記~第2章~朝を迎え2時50分起床。4時から朝食がスタート会場で食べられるので、支度を整え歩いて向かおうとした。すると1台の車が出発した。会場へ向かうランナーのようだ。 中から男性ランナーが『乗っていかれますか?』 『いいですか?お願いします!』 なんと大荷物だったのを気遣って頂き、乗せて貰った。 会場までの間の会話の中で、顔は確認できなかったが 『実はアートスポーツの者なんですけど・・・』と切り出すと 『もしかして鈴木さん?』との返しが(驚)! 『そうです!』『10年くらい前に渋谷店で、東京~大阪まで走る話をして鈴木さんにCWXを紹介して貰ったんですよ!』 『わぁ~ホントですか?』今は福井に転勤されたようですが、アートスポーツのお客様です! とても嬉しい朝の出来事だった。 会場に到着すると、まずドロップバックを預ける。アートスポーツのフィンバックを利用しているが、これでは若干小さい人もいるようだ。こちらのボランティアの方もアートのお客さんだった。そしてゴール行きの荷物を預け、朝食会場へ。 朝食を会場で食べるスタイルは初めての経験。スタート90分前から食べられるのだが、宿からの移動時間もあり、4時30分くらいがピークだった。 内容は調理パン1つとおにぎり1つにバナナ1本で、牛乳・オレンジジュース・コーヒーが用意されていた。いつも朝は軽めなので、ちょうど良い量だった。 これからはトイレタイム!前半からトイレのロスはなくしたい。 準備段階から、お腹の調子を左右するポテチを絶ち万全の状態だった。(ポテトチップスをレース前に食べると必ずお腹が緩くなることが判明!) しかし朝ご飯を食べると出る新陳代謝の良さから、済ませずにスタートする訳にはいかなかった。 時刻は4時40分。会場の地下にあるトイレへ並ぶ。事前にチェックしていなかったので、2つあった列のどちらがトイレの数が多いのかわからなかったが、焦らず近い方に並ぶ。時間的には25分で完了した! スタートゲートに並び始める時間は5時10分から25分まで。540人近いランナーが徐々に集まり始めた。まずはアートスポーツスタッフでゲート前での記念撮影!その後会場まで送って頂いたIさんとも互いの健闘を誓いあった。 スタートラインでは、サロマ湖を同宿で行動した強者!有里さん!(実はフルマラソンとしては走っていないのに、ハセツネもサロマ湖も完走している) 中学時代の同級生羽鳥君はかなりのスピードランナー! そして柴崎コウにそっくりな真由美さんは羽鳥君共にトレイルレースに参戦している。3人ともトレイル経験は自分よりもあり先輩だ。 みんながゴールできることを期待したい!1番心配なのは自分のことだが・・・ いよいよ10秒前のカウントダウンからスタートを迎える。周りはだいぶ明るくなってきた。プロデューサー石川弘樹氏の鳴らす号砲と共にレースがスタートした!制限時間22時間100kmに及ぶトレイルレースの幕開けだ。 天気は曇り、雨がパラパラと降りだしていたが本降りの感じではない。天気予報では夕方辺りからが微妙な天気だ。斑尾高原スキー場をスタートし、グルッと周り、ゲレンデの上まで登っていく。 まずはアスファルトの登りだがすぐにトレイルに入り込む。ゲレンデ内を進むところもありかなりの急勾配だが、妙なハイテンションで全く苦しくなく楽しみながら走ることができる。 時折林の中に入ると暗がりのフカフカのトレイルが顔を覗かせる。これは今までに経験したことのない気持ちの良いトレイルだ。 500名のランナーにも関わらず、側には知り合いのランナーが多い。6月の西湖トレイルイベントに参加頂いた方が今回も来ていた。またアートスポーツからはプライベート参加も含めて6名参加しているので、途中での遭遇も楽しみだ。 段々と夜が明けスタートから30分、雲がなければ素晴らしい朝日が見られたのかと思うと残念だ。雨はすぐに上がり、足元のぬかるみなどもなく順調な滑り出しだ。 本当に気持ちの良いトレイルを走り時間を感じさせないところだ。スタートから約1時間で斑尾豊田スキー場を通過し、10キロの標識をパスする。 10キロ 1時間07分49秒 事前にコースマップを念入りにチェックしていたので、大体のコース全体図が浮かんでくる。また事前講習会で、林道の場所もチェックできていたので、シングル・ダブルトラックは走れると思っていた。 斑尾周辺は走れる!これはまさに走れてしまうコースだ。 後半を考えると前半に貯金が欲しかったのもあり、気持ちの進むまま走り続けた。 斑尾山に向けての林道に入り、徐々に高度が上がっていく。 ここで試走にも来た元アートスタッフからあと10分くらいで1Aだと言うことと、絶景ポイントがあると聞き、楽しみにしていた! まさに絶景!自分の脚で上がってきた分だけ余計に快感だ!しかしまだ斑尾直下ではない。この先にピークがまっているのだ。まずは1Aを目指した。 1A到着時間は2時間12分。ここは簡易的な内容と聞いていたので、期待はしていなかったが、バナナとパワーバーはなくなっていた。まだ人数がバラけていないので給水も間に合わない様子だった。 さあここからが前半のピーク! 斑尾山だ! 急激なハイキングコースへとランナーの列ができている。 走ることは当然できない。 歩幅は小さくピッチを上げて登るように意識する。 しばらくはスイッチバックで登るが、徐々に岩肌が顔を出す。 そしてこの斑尾で1番ガレていると感じた大きな岩の先にカメラマンがいた!『良い笑顔ですね!』『いやいや思わず苦笑いですよ!』バックには野尻湖が広がり、最高のポイントの様だ。 斑尾山頂はこの先。景色の良いポイントでしばしひと休み。山頂は見晴らしは良くなく、写真撮影だけしてパスした。さあここから2Aまでは下り坂だ! 下りは走り易く土の路面が続く。ふと開けた視界の先にはゲレンデ?と思われる。下りが見える。まずは富士山の下りの須走のようにクネクネしながら急な斜面を降りていく。これは走らざるを得ない。膝などへの負担は少なく、気持ちの良い下りだ。見上げればランナーのカラフルなシャツが緑に栄えている! さらに下るとそこはまさにスキー場!スキーの苦手な自分が冬に来たら正に直滑降!だろうと思われるようなゲレンデを走る。走ると言うか止まれない!跳ねるように加速していく。芝の上なのだが、土はデコボコしていて危うく脚を取られてしまうこともある。スキー場だけに段々になっているので、平坦が続いた後はまた急斜面が広がる。地図で見ていた下り勾配はこれか!と言う感じだ。と言うことは間もなく2Aに到着だ。 緩やかなカーブの先に2Aが見えてきた。そこにはランナーを迎える石川氏の姿が!心配りがさすがでこの先のコースを案内してくれて、『とにかく走れるので飛ばし過ぎないで!』とアドバイス頂いた。いつもの爽やかな笑顔だけでなく厳しい眼差しも伺えた。 2Aは距離にして23.9キロ付近。この地点ではじゃがいもが登場!ホクホクのじゃがいもに塩をかけて食べる!旨い!ここでもスペシャルドリンクをシェイクして摂る。トイレも済ませ、ゆっくりしていると有里さんも到着し、先行されてしまった。 普段のウルトラならばリズム優先だが、今回ばかりは回復優先!長丁場20時間を想定したとしても体力の温存が大切だ。2Aの出発は有里さんを追いかける形でスタートした。 この先は袴岳までが登りとなり、距離にして30キロと認識していた。袴岳を過ぎると10キロ以上の下りが続くので、まずは無難にクリアするつもりで走りだした。 2A以降も走れる気持ちの良いトレイルが続く。単調でもなく景色の変化もあるので、本当に飽きない。思わずカメラを手にする機会も増えてしまう。有里さんに追い付いた際には後ろから動画で捕獲!なかなか自分の姿を見れないので、どんな走りをしているのかを見て欲しいと言うランナー&カメラマン魂が燃え上がった!30秒足らずの動画だが喜んでくれるはずだ。 トレイルからアスファルトに出て袴岳の登山道に差し掛かると再び登りとなるが、厳しい登りではなく心地良い登りなので、一杯一杯にならずに登りきることができた。30キロは袴岳頂上手前にあった。 30キロ 4時間36分11秒 1時間53分23秒 登り切ってからの下りもフカフカのトレイルで、イメージとしてはカブトムシを飼う時の腐葉土と言った感じ。しかしこのフカフカトレイルはすぐに終わり、下った先に林道が始まる。この地点で簡易トイレがあったので、小を済ませる。ここまでトイレは2回。 この先は3Aとなる妙高高原駅近くまでひたすら下り坂だ。相当走れると思いきや、自分には林道の砂利が非常に走りにくく痛かった。本当に気持ちの良い木々に囲まれたまっすぐの道や、小川のせせらぎが聞こえてくるトレイルなのだが、足元だけは土を選んでセンター部分を走ることが多くなってきた。前半の斑尾パートがいかに走りやすいトレイルだと言うのが実感できた。 下りなのに気を使う。この集中力を切らすことのできない状態がジワジワと疲労となって溜まってくるのがわかる。いつまでこの林道が続くのか?少しずつ距離や時間の経過を気にしだしてしまう自分がいた。『早く終わってくれよ!もしくはまた柔らかい土を走りたい!』 ようやく林道の終わりが見えてきた。と言うことはまもなく3Aだ。思ったよりも早く林道を抜けることができたので、安堵感で満たされた。そしてアスファルトに出る。視線の先にはJRの線路も見えてきた。3Aはどこだろう?トレイルの出口を振り返るとウルトラでいつもご一緒するKさんご夫妻が見えてきた。大会前奥武蔵での練習の帰りにも立ち寄って頂き、また本店の事前説明会にも参加して頂いていた。下りで差が縮まったようだ。少しアスファルトで休憩をしながら歩き、JRを潜る。そしてもうすぐ3Aに到着だ。ここで元スタッフの須藤君がアシスタントポイントを出発するタイミングだった。互いにエールを送る。 信越五岳トレイルランニングレース激闘記~第1章~ 信越五岳トレイルランニングレース激闘記~第3章~ |